千手観世音菩薩
せんじゅかんぜおんぼさつ
千手観世音菩薩とは
千手観世音菩薩は、千手千眼観世音菩薩とも称されます。文字通り千本の手と、その手にそれぞれ眼を持つとされ、その眼と手の力を使い人々を救済する仏様として知られています。仏像や仏画を見ればわかりますが、千本の手が実際に彫られていたり描かれていたりするわけではなく、この場合の千とは無量(限りなく多い)といった意味合いになります。
仏教発祥の地であるインドの仏像や仏画では、この千手観世音菩薩はほぼ見られない仏様になっています。またこの千手観世音菩薩、日本では子年生まれの人の守り本尊として知られています。
基本的な像容は前述の通り、胴体から伸びている千本の手になります。もちろん、千本を彫るのは無理なので、一般的には合掌している手以外に40本、合計42本の手で構成されています。これは仏教において、天上から地獄まで25種類の世界があるとされる考え方に基づいており、「25×40」で千を表しているとされます。なお、経典に従って、それぞれの手には宝戟や宝剣、羂索、宝鏡などの持物を持った姿で描かれています。
キリーク
主な御利益
あらゆる願望の成就。正しい選択肢へと導く。魂の浄化。
真言
おん・ばざら・たらま・きりく
有名な千手観世音菩薩
清水寺
京都観光や修学旅行でお馴染みのお寺です。こちらの御本尊が千手観音で、普段は秘仏ですが33年に1度だけ扉が開けられ拝観出来ます。42本の手のうち、左右各1本を頭上に伸ばして組み合わせた特殊な形式の像になります。
三十三間堂
正式名称は蓮華王院という京都のお寺です。蓮華王院とは、千手観音の別称である蓮華王に由来しています。1001体の千手観音像が並ぶ本堂内は、圧巻のひと言と言えます。
葛井寺
歴史ある観音霊場の札所、西国三十三ヵ所観音霊場にもなっている大阪府のお寺です。地名の場合は、藤井寺の文字が使われています。毎月18日のみ開扉される国宝の観音様です。
道成寺
和歌山県日高郡にあり、能・歌舞伎・浄瑠璃の演目として名高い「安珍・清姫伝説」で知られるお寺です。南向き本尊と北向き本尊の、2体の千手観音像が安置されています。
唐招提寺
千本の手を本当に作るケースはまれですが、5メートルを超えるこちらの奈良時代末期の千手観音像は、実際に千本の手を表した例として知られています。