十一面観世音菩薩
じゅういちめんかんぜおんぼさつ
十一面観世音菩薩とは
その名前が示す通りに、本体の顔以外に10(あるいは11)の顔を持っている観音菩薩になります。観音菩薩の変化身のひとつであり、六観音のひとつにも入っています。仏教発祥のインドや経由してきた中国よりも、十一面観世音菩薩は日本で多くの信仰を生み出してきました。日本では、奈良時代から十一面観音の造像や信仰は盛んに行われとされており、同じ観音菩薩である聖観世音菩薩に次ぐ数だとも言われています。その像容も名前の通りで、本体の顔があり、その頭頂に10の小さな顔が乗っている姿をしています。頭頂の顔は、仏面、菩薩面、瞋怒面、大笑面などと呼ばれていて、ひとつひとつが異なった表情を浮かべているのが特徴です。また、右手を下におろし、左手に蓮華を生けた花瓶を持っていることでも広く知られています。
キャ
主な御利益
災難回避、病気平癒、財福授与など。勝負運が高まる。死後の成仏。
真言
おん・ろけい・じんばら きりく・そわか(通常呪)
おん・まか・きゃろにきゃ・そわか(白山権現呪)
有名な十一面観世音菩薩
長谷寺
奈良県桜井市にある真言宗豊山派総本山のお寺です。お寺の御本尊である十一面観音像は、高さ10メートル以上の巨大仏として知られています。
聖林寺
奈良県桜井市にあるお寺で、こちらに所蔵されている十一面観音像は、奈良時代末期に作られたものとされており、国宝に指定されているほどです。
東大寺
境内の二月堂の御本尊が、十一面観音像になっています。こちらは、大観音と小観音と呼ばれる2体の十一面観音像という珍しい形式ですが、秘仏とされています。
道明寺
大阪府藤井寺市のお寺です。こちらの御本尊も十一面観音像です。菅原道真作とされ、平安時代初期の木造立像になっています。像の高さは、およそ1メートルあります。
渡岸寺観音堂(向源寺)
滋賀県長浜市にあるお寺です。国宝に指定されている7体の十一面観音像の中でも、特に彫刻が美しいとされている1体になります。