馬頭観世音菩薩
ばとうかんぜおんぼさつ
馬頭観世音菩薩とは
観世音菩薩のひとつの変化身であり、元々は柔和の相と憤怒の相の正反対の二相を持つ観世音菩薩とされています。ただ、日本に残っている馬頭観世音菩薩像はほぼ憤怒の相をしたものであって、二相を持つこと自体があまり知られていないようです。ときには馬頭明王と呼ばれることもあって、菩薩ではなく明王の格に分類されることもあります。名前に馬が入ることから馬の守護仏とされることもあり、競馬関係者や賭け事としての競馬を楽しむ人たちからの篤い信仰も集めています。また、馬のみならず、広く動物全体の守護仏としての色合いを持つケースもあります。馬頭観世音菩薩の像容の特徴としては、やはり馬頭の名称からくるところでしょう。頭の上に文字通り馬の頭を乗せており、胸の前で結ばれた印相は馬の口を模した根本馬口印という場合がほとんどです。憤怒相でお馴染みの不動明王と同じく剣を持ち、また斧や棍棒といった武具を持つこともありますが、一方で仏様らしく蓮華のつぼみを手にしている仏像もあります。
カン
主な御利益
自然災害からの守護。馬をはじめとした動物の守護。動物供養。
真言
おん・あみりと・どはんば・うん・はった・そわか
有名な馬頭観世音菩薩
馬居寺
「まごじ」と読む福井県のお寺です。寺院御本尊である馬頭観音像は、平安時代末期~12世紀にさかのぼる作と見られており、重要文化財となっています。
橋立堂
日本百観音霊場を構成する秩父三十四ヶ所観音霊場。その札所であり、秩父観音霊場で唯一、馬頭観音を本尊としているお寺です。
松尾寺
こちらも同じく、日本百観音霊場を構成する西国三十三ヶ所観音霊場の札所であり、唯一、馬頭観音を本尊としている京都府舞鶴市のお寺です。
浅草寺
東京観光で有名な浅草寺、その境内の駒形堂にも馬頭観音が祀られています。毎月19日の馬頭観音ご縁日には、多くの参詣者で賑わいを見せています。
西明寺
栃木県の益子町のお寺です。こちらは笑い閻魔こと閻魔大王像が有名なお寺ですが、鎌倉時代に作られたとされている馬頭観音像も祀られています。