烏枢沙摩明王
うすさまみょうおう
烏枢沙摩明王とは
「うすさまみょうおう」あるいは「うすしまみょうおう」と読み、不動明王や愛染明王と同じ明王の尊格を持っています。お寺の御本尊になったりすることはありませんが、非常に名前の知られた仏様になります。それはこの烏枢沙摩明王が、火の神であり厠(不浄)の神であることから、「トイレの神様」として浸透しているのです。仏教発祥の地であるインドの古代神話の中でこの烏枢沙摩明王の元になっているのが、アグニと呼ばれる炎の神様です。その功徳は、不浄を始めとしたあらゆるものを業火で焼き尽くすというもので、そこからの流れで“炎で不浄を浄化する=トイレの神様”となったとされています。烏枢沙摩明王の像容は固定されたものではなく、一面六臂や三面八臂の姿が仏像や絵画に残されています。ただ、主に右足を大きく上げて片足で立つ姿を取っていることが多い特徴はあります。そしてその表情は、不動明王のように憤怒の相を取ることが多く、愛染明王のように弓矢を手にしていることが多いようです。
ウン
主な御利益
穢れの浄化、精神の落ち着きを与えるなど。下半身の病を癒す。場を浄化する。
真言
おん・くろだのう・うん・じゃっく・そわか
有名な烏枢沙摩明王
西方院
笠寺観音として知られる笠覆寺の塔頭です。こちらに祀られている烏枢沙摩明王(烏瑟沙摩明王)は木曽義仲の母の守護仏で、安産のご利益があるとされています。
来振寺
岐阜県揖斐郡大野町のお寺です。烏蒭沙摩明王を含めた不動明王・降三世明王・軍荼利明王・大威徳明王の5幅の絹本著色五大尊像が、国宝に指定されています。
瑞龍寺
富山県高岡市の禅寺です。こちらの烏枢沙摩明王は、元々は東司(トイレ)に祀られていましたが、現在は国宝である法堂に祀られています。