韋駄天
いだてん
韋駄天とは
韋駄天は、その名前が示す通り、弁財天や帝釈天、毘沙門天などと同じ天部の中に含まれる仏尊になります。天部の中でも、四天王の下に位置する三十二将と呼ばれる中で首位になります。違駄天と表記されたり、また韋陀あるいは韋天将軍と呼ばれたりすることもあります。仏教においては一般的に、お寺の伽藍を護る護法神とされていますが、禅宗では特に厨房の護法神として祀られています。もっとも、一般的には『韋駄天走り』ということわざで知られている仏様でしょうか。韋駄天は非常に足が速いとされ、全速力かつ猛烈な勢いと速さで走る様子をこう表されます。韋駄天の足が速いとされるエピソードは、夜叉が仏舎利を奪って逃げ去った際に追い掛けて、これを取り戻したことからきています。そこから今でも、速さを競う陸上競技者・ランナーは、競技大会の前に韋駄天が祀られている寺社へお参りすることが多いと言われています。また他にも、“ご馳走”という言葉は、韋駄天がお釈迦様のために方々を駆け巡り、口に合う食べ物をかき集めたことから来ている言葉だという逸話もあります。韋駄天の像容は、一般的に甲冑をまとい剣を持った、一見すると武将のような姿を多くとっています。
ク
主な御利益
盗難を防止する。走るのが速くなる。満ち足りた食生活を送れる。
真言
おん・いだていた・もこていた・そわか
有名な韋駄天
萬福寺
京都府宇治市にある黄檗宗の大本山になります。こちらの天王殿には、布袋尊の他に、四天王や韋駄天が祀られています。
乙津寺
鏡島弘法あるいは、梅寺と呼ばれる岐阜市のお寺です。 こちらの本堂にあたる国宝安置殿には、国の重文に指定されている韋駄天が祀られています。
新宿韋駄天尊
新宿区西新宿3丁目ワシントンホテルのすぐ前に、こちら新宿韋駄天尊堂があります。韋駄天尊は江戸中期の作とされ、元々は浅草で祀られていたものが遷されたとされています。