東京で一人暮らしを守る、謎の人影…
私は社会人三年目の、サラリーマンです。実は、去年転勤で東京に出てきてから、どうも霊のようなものが憑いてしまったようです…。 もともと地元が神奈川なので、転勤だからといってわざわざ引っ越すこともないと思っていました。しかし実際に東京営業所での仕事は残業も多く、アパート代は会社で負担してくれるという話でしたので、思い切って一人暮らしを始めることにしたのです。
幸い、部屋は日当たりも良く建物自体も会社が借り上げている新築でしたので、週末実家に戻ることを考えて、必要最低限の荷物で新生活をスタートしました。 ところが、引越ししてから三日ほどたったある晩、深夜に会社から戻るとベッドの上に人影のようなものがあったのです。見間違いかと思い慌てて電気をつけると、すでにベッドの上には人影は無く一瞬ホッとしたのですが、すぐにゾッと背筋が冷たくなりました。
朝、きちんと整えて出かけたはずなのに、掛け布団にまるで今まで人が座っていたかのような窪みがあるのです。その日は気になって眠れず、次の日は寝不足のぼんやりした状態で出社せざるをえませんでした。
そして、その朝地下鉄の階段を登り、会社へ向かうために信号を渡ろうとしたときに、最初の不思議な出来事は起きました。頭のなかに「危ない!」という声が聞こえたかと思った瞬間、誰かの手で、スーツの背中を思い切り引っ張られたのです。私はバランスを崩し、思わず後ろに転びそうになってしまいました。
その時、目の前を猛スピードのオートバイが通り過ぎていくのを、私は信じられないような気持ちで見ていました。もしもあのままぼんやり歩いていたら、確実に私はそのオートバイに跳ね飛ばされていたでしょう…。
それから、外回りに出かけるときなども、うっかり企画書を机の上に置きっ放しにしていると「忘れ物、忘れ物」という声が頭の中に聞こえ、スーツの袖を引っ張られたり、電車で座ったまま寝てしまって、乗り過ごしそうになったときも後ろから肩を揺すられたりと、頻繁にその「霊のようなもの」は私を助けてくれるようなのです。
今のところ金縛りや、その他恐ろしい経験をさせられたことはありませんが、もともと霊感など全く無い私に、突然このような不思議なことがあるものなのでしょうか?
(神奈川県厚木市 松田翔さん 25歳 営業職)
深水先生より
興味深いお話で、さっそく霊視させていただきました。まずあなたの言っている「霊のようなもの」ですが、私の頭にハッキリと浮かび上がってくるのは、人間とは少し違った存在のようです。あなたのご実家というのは、地元でも歴史のある旧いお家ではないでしょうか。
お父様も、お祖父様も今まで一度も、外で一人暮らしをされた経験は無いのでしょう、長男としてはあなたがおそらく初めての一人暮らしなのですね。そこで何代にもわたって、あなたのお家を見守ってきた精霊(東北地方などでは、座敷わらしが有名ですね)が心配して付いて来てくれているのですよ。
決して害を及ぼすことはありませんし、あなたがちゃんと栄養バランスの取れた食事に気をつけたり、規則正しい生活を心がければ、精霊も安心して、そのうちご実家のほうに戻るでしょう。