旅先で体験した怖い話特集
第一章 カーテンの向こう
生まれて初めて本当に怖い思いをしました。友達と三人で京都旅行に行く新幹線のなかでの出来事です。私たちは8月の始めに早めの夏休みをとり、東京駅から朝一番の新幹線に乗りました。車内は、半分以上が出張らしきサラリーマンで、残りが私たちのような旅行客でした。まったく状況としては、霊に遭遇するような場所でも時間帯でもないし、今でも一体何だったのだろうと不思議に思います。
その日私たちは、始発の新幹線に乗るためにとても早起きをしたので、新幹線に乗り込んで全員がすぐに眠ってしまいました。目が覚めたらもう名古屋を過ぎていたのですが、他の二人はまだ寝ており、通路側に座っていた私はトイレに立ったのです。そしてトイレから出てお化粧を直そうと思い、洗面所へ入ってカーテンを引き、鏡を見ると、背後のカーテンの隙間から男性の顔が半分出て、こちらを覗いているのです。
「えっ」と思った私は、振り返って、バっとカーテンを開けたのですが、そこには誰もいませんでした。通路を見渡しても誰もおらず、私は冷水を浴びせられたように背筋が凍りつきました。生まれて初めて髪の毛が逆立つという感覚を覚えました。多分何秒かそこで硬直していたと思います。
やっとの思いで自分の席に帰ると、目を覚ました友人が私の真っ青な顔を見てびっくりしていましたが、あまりにも怖くてその場で説明することができませんでした。 そのあと友達もトイレに行きましたが別に何もありませんでした。あれは、私に憑いている霊なのでしょうか。
(千葉県浦安市 成田千恵子さん 26歳 OL)
大和先生より
ちょっとたちの悪い波動を感じます。この霊は、いわゆる浮遊霊というものです。ただ、貴女に憑いているということはありませんからご安心ください。普通の方でもごくまれに、霊と波長が合ってしまうことがあります。この時もたまたまこの霊と貴女の波長が合って、見えてしまったのでしょう。とくに気にされなくて大丈夫です。