昔、当時付き合っていた元彼と一緒にドライブデートをしていた頃、本当に怖い体験をしたことがあります。彼は自称「霊感がある人」だったんですけど、私は怖がりだったし、あんまりそういうのを信じていませんでした。デート中にいきなり彼が「ここはよくない」とか言い出すこともあったけど、「そういうのやめて」って言って聞く耳を持ちませんでした。でも今思えば、もうちょっと彼の話をまともに聞いてあげればよかったな、と思います。

ある時、ふたりで県外までちょっと遠出をしたんです。そこに行くには高速道路を使った方が早い、っていうか高速を使わないとすごい時間が掛かるのに、彼は一般道で行きたがるんです。それで、理由を聞いてみたら「途中のトンネルが嫌だ」って言い出しました。確かにそのトンネルは昔ちょっと大きな事故があって、死者も出ているところなんです。でも私は（また始まった……）と思って、「そういうのやめてって言ってるでしょ、大体高速使わなかったらどれだけ遠回りになると思ってるの。いい加減にして」と怒って、渋る彼に無理やり高速道路を使わせたんです。

それで例のトンネルに差し掛かる頃、それまで雑談していた彼が少しずつ無口になっていきました。横顔を見てみたら、顔面が本当に具合が悪いんじゃないかってくらい蒼白になっていました。さすがにちょっと罪悪感が湧きましたが、もうトンネル手前でパーキングエリアもないし、運転交代もできなかったので、彼にそのまま頑張ってもらうことにしました。そしてトンネルに入った瞬間、突然、何かが私の中を突きぬけていくような感覚がして、ものすごい寒気がしたんです。寒気っていうか、生理的に無理な人に背筋を撫でられたような、そういう不快感っていうか……。それで気がついたら、目から涙がどんどん溢れてきたんです。横を見たら彼も涙で顔をベタベタにしていました。

そのトンネルを抜けてすぐのパーキングエリアで、私達は休憩を取ることにしました。不可解な寒気も、突然涙が溢れてくる体験も何もかも初めてで、混乱していましたが、とりあえず私は彼に謝りました。あんなに嫌がっていたのに無理やり高速を使わせたせいでこんな目に遭って、全部私のせいだと思ったんです。でも彼は怒ってなくて、むしろ彼のほうから謝り返してきたんです。自分は霊感体質だからこういうのは割とよくあるんだ、自分と一緒にいたせいでこんな思いをさせてしまってごめん、って……。

結局、その件が原因ではないんですけど、彼とはその後疎遠になって、お別れすることになりました。私もいまは別の人と付き合っています。彼とお別れしてから、例の高速道路のトンネルは何度か通りました。でも、彼と一緒に通った時みたいな感覚には全くなりませんでした。

（岐阜県多治見市　佐藤美知香さん　25歳　事務職）

真樹子先生より

共に行動することの多い交際中の相手や、深い友人関係の相手から霊感が一時的に移ることがあります。人と人とは霊的な縁で結ばれていますから、その縁を通して霊感が伝染するのです。この体験はまさにその分かりやすい例でしょう。

霊視をしてみましたところ、どうやらその以前の恋人さんは相当強烈な霊感体質のようです。しかし霊能者としての修行を全くしていないことから、霊と関わりやすい割に霊に対する対抗措置を持っていません。それゆえ頻繁に心霊体験に遭われており、少々危険な状態となっています。

こういった方は稀にいらっしゃいます。仮に霊能者としての道に進めばそれなりに力のある方になれるのですが、それも運命の導き次第。そのまま霊に怯え続けながら生きていく方も少なくありません。佐藤さんご本人のことも霊視いたしましたが、こちらは霊感がほぼ皆無ですので、今後も普通に生活してまったく問題ないでしょう。