幸運に恵まれる不思議な部屋
引っ越しが好きで、賃貸物件の2年契約が終わるたびに部屋を変えているのですが、そんな私が以前住んでいたとある物件で、おかしな現象が頻発したことがあります。その物件は一見何の変哲もないワンルームマンションなのですが、裏に小さな祠がありました。昔からそこにあったような雰囲気で、近所の方がお手入れをしているらしく、いつもお花と水のようなものが供えられていました。私の部屋はその真裏にあったんです。
「おかしな現象が頻発した」と書きましたが、決して不気味な雰囲気はしませんでした。そうではなく、どちらかというと神々しい何かが居るような感じだったんです。部屋の中を何かがスーッと通り抜けていく気配は日常茶飯事でした。夜中にふと目を覚ましたらカーテンの向こうが淡く光っていたこともあります。どこからともなく、チリン、チリン、という澄んだ鈴の音のような音が聴こえてきたこともありました。どれも不可思議な現象でしたが、「怖い」と思ったことは一度もなかったです。何かに守られているような、近所に頼もしい隣人がいるような、そんな感覚すら覚えていました。実際、その物件に住んでいた頃はなぜかとても運が良く、仕事で成果を上げて昇給したり、素敵な恋人ができたり、友人関係が充実したり、良いことずくめでした。
そこに引っ越してきた直後の頃、友達を何人か招いて鍋パーティーをしたことがあったのですが、その中のひとりがちょっと霊感のある子でした。部屋に入るなり、変な気配を感じ取ったのか一瞬動きを止めましたが、その後「ここは不思議な部屋ね。越してきてから良いことがたくさん起こってるでしょ」って言ってきたんです。その時はまだ本当に引っ越して数週間くらいだったんですけど、職場で苦手だと思っていた人と和解できたり、昔の友人から急に連絡が来たり、たまたま入ったバーで素敵な男性と知り合ったり、人間関係の幸運がいくつか頻発していたんです。「なんでわかるの?」と尋ねると、「ここは神様の通り道で、その神様はあなたのことを気に入ってるみたい」と答えてくれました。彼女は私の部屋の真裏に祠があることは知らないはずだったんで、驚きました。
その祠は、近所の人が管理しているみたいでしたので、私はお供え物はしませんでしたが、前を通った時に手を合わせたりはしました。あとは、その霊感のある彼女が言っていた話を信じ、部屋はいつでもなるべく綺麗にするように心がけていました。
今ではもう引っ越してしまいましたが、あの部屋からはずっと出ないほうが良かったかもな、とちょっと後悔しています。でも、そういう邪な心があると良くないのかもしれませんね。
(東京都武蔵野市 本間あゆみさん 40歳 企画職)
緋月縁先生より
「神様の通り道」は実際に存在します。とは言っても、日本の神様は西洋の神様と違い、絶対的な存在ではなく、個としての好き嫌い、贔屓などをする人間的な性質をしており、その神様に気に入られればさまざまな福がもたらされますし、嫌われれば理不尽な不幸がもたらされます。投稿者様がかつてお住まいだった部屋はそんな神様の祠のすぐ近くに位置し、たまたまご投稿者様がその神様と波長が合った結果、さまざまな福をもたらしてもらえた、ということでしょう。
ご投稿者様の記憶を遡り、当時の部屋を霊視をしてみましたところ、裏の祠にいらっしゃる神様はかなり選り好みが激しい性質をしていたようで、その前に住んでいた方のことはあまり気に入らなかったご様子。不幸を起こしたり、なんとなく家に居づらい雰囲気にさせたりしていたようです。ご相談者様の次に入居された方のこともあまり気に入らなかったようで、次の方は半年も経たずに退居されています。現在は空き物件となっている模様です。霊視を続けていたところ、私も向こう側から勘付かれてしまい、敵意に満ちた念を送られてしまいました。
神様の好みは人間にはなかなか理解が追い付かないもの。とりわけ巷の祠などに祀られている神様は、道祖神という、いわば野生の獣のような霊体を祀り上げたような存在も多く、荒々しい気性を持つ方や、気難しい方も多数いらっしゃいます。ご相談者様がその神様に気に入られたのは、非常に運が良かった、と言うことができるでしょう。