前夫とはもう離婚しているのですが、離婚のきっかけになったのは向こうの浮気でした。それに勘付いた理由というのが、私の心霊体験です。元々、私達には子供がおらず、共働きで、夫婦というより共同生活者といった感じでした。しかし、ある時を境目に、夫の気配が変わったのです。夫の顔を見ると、そこに女の顔がうっすら浮かんできて、重なって見えるようになりました。

私は別に霊感があるわけではなく、オバケの類も一度も見たことがありません。勘はちょっと鋭いほうですが、特にこれといった特徴もない普通の女です。でも、ある時から、夫の顔に女の顔が浮かんで見えるようになったのです。最初は私の気のせいかなって思っていました。霊的な怖さはなかったので。しかし、やがて後姿にも女の姿が重なるようになりました。はっきり見ようとするとそんな人はどこにもいないのですが、ぼんやり見ている時に、背中にしがみ付くように憑いているのが見えるのです。

心霊体験は初めてでしたが、「怖い」という感覚はありませんでした。「あの人は外に女を作っていて、その女が彼にとても執着しているんだ」とすぐにわかりました。生霊のことは、以前インターネットの怖い話まとめのようなサイトで読んだことがありました。だから、それだとすぐにわかりました。浮気を感じ取りはしましたが、特に裏切られた気分にはなりませんでした。すでに私達は夫婦というより共同生活をしている相手という雰囲気でしたから。私の気持ちも既に冷めていたのでしょう。ただ、ほかの人と一緒になりたいなら私との縁は切って欲しい、と思い、話し合いの場を設けました。そこで、浮気に勘付いていること、慰謝料を取るつもりはないから、相手の女を選ぶなら籍を抜いて欲しいことを告げました。すると旦那もあっさりと白状し、私達は離婚することになりました。

友達からは「なんで慰謝料を取らなかったの」と叱られました。でも、慰謝料という形で縁が続くくらいなら、もう綺麗さっぱり切れて過去の失敗になってしまったほうが、私自身の気持ち的にも楽だったのです。今はひとりで気ままな生活をしています。風の噂によると、夫はあれから新しい女としばらく交際したらしいのですが、結局だめになってしまったようです。私があの時夫ごしに見た姿は強い執着を感じさせるものでしたが、何かあったのかもしれません。まあ、私には知るよしもありませんし、知りたいとも思いませんが。以上、私の心霊体験でした。

（神奈川県座間市　加藤興子さん　45歳　会社員）

喜代恵先生より

生霊は一般的な死者霊よりも強力な霊体です。そもそも生霊とは、なんらかの強い感情を抱くあまり、生きている人の魂の一部が分離して相手に憑依するもの。すでに死んだ後の浮遊霊や地縛霊などに比べ、何倍も強いパワーを持っています。

元旦那様の顔に重なって見えたり、背中に憑いて見えたりした女の姿は、間違いなく浮気相手の生霊でしょう。人は「相手のすべてが手に入らない状態」のほうが執着をより強く抱くもの。特に既婚者との不倫関係に耽溺するような人は、相手が他の人のものであること、自分が正式なパートナーではないこと、すべて自分のものにはならないことを意識すればするほど、執着を増し、恋愛感情を強めていく傾向があります。ですから、仮にそのまま略奪に成功して、相手のすべてが手に入って満足してしまったら、急に気持ちが冷めてしまうこともよくあるのです。

電話占いにはこういった執着心を持つ女性からのご依頼が日夜舞い込みます。中にはご自身が生霊を飛ばしてしまっている方も数多くいらっしゃいます。そういった方を霊的に正常な状態に戻すと、まるで憑き物が落ちたように相手への気持ちが冷め、真っ当な道に戻っていきます。おそらく元旦那様に憑いていた生霊の彼女も、そうして真っ当な道に戻っていったのでしょう。