男性が早死にする家系
第8話
「家系の因縁を見て欲しい」と男性の方から鑑定依頼。どうやら男が早死にしやすく、40~50代で不思議な死に方をする方ばかりだとか…。
40代~50代で急死する男が多い
数年前に依頼を受けた、家系にまつわる因縁のお話をいたします。ある日、電話占いを待機していたところ、一本の依頼が入りました。依頼主は中年の男性。電話占いの利用者は女性が多いのですが稀に男性からの依頼も入ります。女性からの依頼は主に恋愛相談。一方、男性からの依頼は、仕事の問題や家族問題など、恋愛以外の根深い問題が多い傾向が見受けられます。その男性の依頼は「家系の因縁を見て欲しい」とのことでした。
男性の家系は男性が早死にしやすいそうです。実のお父様が亡くなったのも40代半ばだとか。他にも、叔父をはじめとする親族の中に数名、40代~50代で急死する方がいたそうです。死因は主に事故死。「ガン家系のようなものがあるそうですが、うちはそうではありません。早死にの原因はそれぞれ違って、まったくと言っていいほど共通点がないのです」とのことでした。なお、依頼者の男性は30代。先日奥様の妊娠が判明して、お腹の子が男の子だとわかったばかりだそうです…。
祈祷師のおぞましい祟り
霊視鑑定をしてみましたところ、先祖の因縁が関係していることが分かりました。遡ること江戸時代末期。男性の先祖筋にあたる方がとある相手といざこざを起こし、殺してしまう事件があったそうです。さらによくないことに、殺された側は陰陽道を受け継ぐ祈祷師の家系でした。先祖筋を大層恨み、「根絶やしにしてやる」と祟ったそうです。男性が早死にするようになったのはそれ以降。20代や30代で狂死する方が続出するようになりました。
呪いを恐れた先祖筋は、数々の霊能者に解呪を依頼したそうですが、祈祷師の呪いは大変強力で、解ける霊能者はいませんでした。とある霊媒師が、この祟りはとても強力なので解くことはできないが、力を弱めることはできる、と言い、効力を弱める塚を建てたそうです。「ご実家の庭に塚のようなものはありませんでしたか?」そう質問すると、「ありました。そこには男は決して近寄ってはならない決まりがあり、親にも祖父にもきつく言われていました」とのことでした。
呪い除けの秘儀
呪いはまだ確実に残っています。このままでは男性やお腹のお子さんにも影響を与えることは一目瞭然です。しかし、こういった呪いを避ける方法はいくつかあります。血の繋がっていない養子をもらって育てればその子が血筋の呪いを受け継ぐことはありませんし、婿養子に入って姓を変えることで別の家の者となり呪いを回避できる場合もあります。しかし、男性はすでに入籍を済ませており、お腹のお子さんも実の子。どうしようもありません。
そこで私はひとつ提案をしました。「お子様の名前を私につけさせてもらえないでしょうか?」そう言うと、男性は「えっ、どういうことですか!?」と大変驚いていました。「順を追って説明します。呪いは一族の男にのみ降り掛かるものであり、このままだとあなたの息子さんも被害を受けることになります。そこで、息子さんの名前を男とも女とも取れるものにするのです。あなたの家の男性は皆、名前に一文字、受け継ぐ漢字がありますね。その字は絶対に避け、中性的な名前を付けることで、呪いは高確率で回避することができます」私の説明に男性は大変納得された様子でした。「確かに私の家系の男はほぼ全員、同じ字を受け継いでいます。その字が問題だったとは…。盲点でした。ぜひ子供の名前をつけていただきたいです。よろしくお願いします」そうおっしゃってきました。
お子様の名付け親になることに
私はお子様の名前をしばらく考え、頭に閃いたものをお伝えしました。プライバシーの観点から、私がお子様につけた名前をここに記すことはできないのですが、「薫」といった、男でも女でもありそうな名前です。男性はとても気に入ってくれて、「絶対にその名前にします。ありがとうございました」とお礼を伝えてくれました。
また、鑑定終了間際に「私も改名すれば呪いを避けることが可能なのでしょうか?」とご質問されましたので、「可能です。先祖から受け継いでいる字を外して、同音の別の漢字を当てるだけでも効果があるでしょう」とお答えしました。男性は改名を真剣に考えるそうです。
家系の呪いや因縁はとても強力なものが多く、なかなか対処が難しいです。しかし、不浄霊の呪縛や生霊の憑依といった霊障と異なり、家計の呪いや因縁には「ある条件に当てはまる者にのみ災いを与える」という仕組みがあることが多く、それはいわば自動化されたプログラムと似ていると言えるでしょう。呪術に対する造詣があれば、意外な対処法で呪いを避けることができるのです。