遭難者の霊
第10話
登山中に遭難して行方不明になった方の遺族から「見つけてあげて欲しい」と依頼され、霊視を行ったことがあります。後日、遺体は霊視通りの場所で無事発見されたそうです。実際に起こった事件ですので、特定できない範囲内でお話させていただきます。
遭難者のご親族からの依頼
とある秋の終わりに一本の依頼をいただきました。依頼主は初老の女性。「息子が登山中に行方不明になってしまった。山は雪が積もっており捜索も打ち切りになってしまった。生きているとは思わないがせめて亡骸を発見してあげたい。場所を霊視できませんか」というお話でした。息子さんは学生時代から登山サークルに入っており経験豊富だったそうですが、やや向こう見ずなところがあったそうです。行方不明となった山は登山家の間では有名で、冬にはスキーの名所として親しまれています。その年は冠雪が早かったこともあり、秋の登山で行方不明になったまま捜索不可能となってしまったようです。すぐに霊視を行い、息子さんの霊を呼び出しました。
「僕の死体の上には雪が積もっている」と言われ…
息子さんの霊は呼びかけに応じてすぐ出てきました。「母さんにはとても申し訳ないことをした」と謝られました。そして、頂上付近のとある尾根で滑落してしまい、沢に転落して足の骨を折ってしまい、助けを待ったもののそのまま凍死してしまった、と教えていただきました。亡骸があるという場所の景色も教えていただきました。「僕の死体の上には雪がたくさん積もっている」とのことで、霊視をしてみると、確かにその沢は一面の雪に覆われていました。これでは捜索隊も見つけることは不可能でしょう。「亡骸を見つけて欲しい気持ちもあるが、もうこれ以上迷惑をかけたくない。春になるまで待って、と母さんに伝えて欲しい」と言われました。
翌年の春、遺体が見つかりました
降霊術と霊視で見えた事柄はすべてご依頼者様にご報告させていただきました。「息子はおそらくもう生きていない」とおっしゃってはいたものの、亡骸の様子や場所など、死の瞬間などを事細かにご報告すると、やはりと言いますか、泣き崩れていらっしゃいました。迷惑をかけたと謝っていることを伝えると「全くです。生きて帰ってくるのが一番の孝行なのに」とおっしゃっていたのが印象的でした。「春になるまで待って欲しい」との旨もお伝えいたしました。翌年の春、息子さんの遺体が霊視通りの沢で見つかったそうです。簡潔なご報告とお礼のお便りをいただきました。